其の684:イーストウッド監督最新作「運び屋」

 やむなく引っ越ししてからの<更新第2弾>です。タイトルは「続・本当に面白い映画、教えます!」にしたいんだけど・・・このサイトの"都合"でこうなっているので、しばらく表記しないと前の読者の方々の為にも・・・いけないかな(苦笑)。

 

 今回の本題。試写会で我が国でも間もなく公開予定の「運び屋」(’18)を観て来ました。実話ベースの犯罪映画で、監督&主演(そして製作)はクリント・イーストウッド。彼の映画出演は「人生の特等席」(’12)以来。そして自身の監督作での出演兼任は2008年の「グラン・トリノ」以来、実に10年ぶり!映画ファンなら、それだけでも観に行く理由は充分でしょ!!公開前なのでネタバレせぬようサクッと書きます(←以前からのこのブログのお約束^^)。

 

 園芸家アール・ストーン(=もち、演じるのはイーストウッド)は高級ユリの栽培で業界内では知られた人物。だが長い間、家族を顧みなかった為、結婚生活は破綻。別居を余儀なくされていた。そんな彼の生業も2000年代に入りインターネットの台頭に押されて失敗。80代半ばになりながら農場や家までも差し押さえられてしまう。そんなある日、孫娘の婚約披露の場に顔を出した際、あるメキシコ系の男から「車を運転するだけで金になる」という話を持ち掛けられる。言われるがまま、中身も分からぬ荷物を指定の場所に運ぶと、思いもよらぬ多額の報酬が渡された。喜んだ彼は新車を購入。2回目、3回目と仕事をこなしながら、その多額の報酬を使って退役軍人の施設に寄付をしたり、自宅を取り戻す事も出来た。そんな中、ふと気になって荷物の中身を見てみると・・・そこには大量のドラッグが!!アールはためらいつつも"運び屋"を続け、その報酬を家族の為にも使うようになる。だが、麻薬取締局のコリン・ベイツ捜査官(=「ハングオーバー」3部作や「アメリカン・スナイパー」のブラッドリー・クーパー)らは捜査の結果、毎月大量にドラッグを運ぶ人物の存在を嗅ぎ付け、捜査の網を広げていって・・・!?

 

 イーストウッドが演じるキャラのパターンは主に2つあって、「荒野の用心棒」や「ダーティハリー」シリーズ、「グラン・トリノ」他でお馴染の"渋~い頑固な一本気アウトロー"のキャラと、「恐怖のメロディ」や「ザ・シークレット・サービス」他で演じた"割とおしゃべりで女好きのキャラ(笑)"のどちらか。今作では後者の方で、麻薬王と対面しても物怖じせず、90歳近いのに移動中に泊まったモーテルでコールガール(しかも同時に2人!!)を呼ぶアチラの方も現役バリバリ(笑)のキャラを楽しそうに演じている(モデルとなった人物のプライベートは良くわからなかったそうなので、そこらあたりは創作)。御大、流石っす!!

 

 で、突然ですが・・・映画監督イーストウッドウディ・アレンには、ある3つの共通点があると筆者は(勝手に)思っている(前にも書いてたらゴメンね)。

 1:コンスタントに作品を発表

 2:馬鹿みたいな<超大作>は作らない

 3:出来がダダすべりしてない

・・・この3つは商業監督的には結構高いハードルだと思う。新作が何年もあく監督も多いし、ちょっと話題作・ヒット作を放った結果、大作任されて大すべりした監督は古今東西、邦洋問わず山ほどいる(実名は出しませんが^^)。そういった意味ではイーストウッドとアレンは世界的にも数少ない優秀なヒットメーカーだと思う。その意味では今作も上記の3つ目から外れない「イーストウッドらしい、いい映画」だった。いつも通り、正攻法の演出&既に世界では1億ドル越えのヒット!いかにもイーストウッドらしい・・・「イーストウッド映画」だったなぁ。こういった内容で、断絶した娘役に実の娘(アリソン・イーストウッド)を起用しているところも彼らしいといえば、彼らしい。実生活への想いも作品に反映させていると思う。

 

 個人的には「パーフェクトワールド」を観た時のように涙を流す事もなかったし(ラスト、泣かせる場面を引っ張りまくったが)、「グラン・トリノ」の様な感慨も抱かなかったけど、時々クスクス笑えるシーンもあったし・・・「いい映画」だったと思う。ホント、「いい映画」としか書きようがない映画。もう御大もご高齢なので、俳優引退等と言わず、最後まで監督・主演を兼任して欲しい!これがファン心理でもあると思うので^^。